特例承継計画で何を確認するのか

法人版事業承継税制(特例措置)の適用を受けるには、まず「特例承継計画」の提出が前提となります。中小企業庁の様式・マニュアルによれば、計画には後継者、承継の予定時期、承継後5年間の事業計画などを記載し、認定支援機関から指導・助言を受けたうえで提出する仕組みです。

「計画を提出すれば終わり」ではなく、この段階で固めた内容が、その後の手続き全体の起点になります。提出前に、どの項目を、誰の助言を得て確定させるかを確認しておくことが実務上重要です。

提出期限「2027年9月30日」と適用期限「2027年12月31日」は別物

特例承継計画には提出期限があり、実際の贈与・相続等に適用される期限とは別に切られています。中小企業庁および財務省の令和8年度税制改正大綱の記載によれば、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日、この制度を使った贈与・相続等の適用期限は2027年12月31日までです。

ここで延長されたのは計画の提出期限であって、税制そのものの適用期限が動いたわけではありません。「計画さえ出せば期限を気にしなくてよい」というものではなく、実際に贈与・相続等を実行できる期限は別途あるという点を、区別して理解しておく必要があります。

期限が近づいてから慌てて計画を作成すると、後継者の選定や事業計画の内容を十分に詰めきれないまま提出することになりかねません。適用を検討している場合は、期限までの残り期間を逆算して、早めに認定支援機関へ相談を始めることが望まれます。

役員要件は「贈与の直前」に変わった

特例承継計画とあわせて確認しておきたいのが、後継者の役員就任期間に関する要件です。財務省の令和7年度税制改正大綱によれば、法人版事業承継税制の特例措置における贈与税の納税猶予について、後継者の役員継続要件が2025年1月1日以後の贈与から「贈与の直前に役員であること」へと緩和されました。

ただし、これは特例措置の贈与税納税猶予に関する改正であり、一般措置で求められる3年以上の役員経験という要件そのものが廃止されたわけではありません。また、代表者要件・年齢要件・株式保有要件など、特例措置に残る他の要件も変わっていません。「役員要件が緩和された」という情報だけを切り取って自社に当てはめると、他の要件を見落とすおそれがあります。自社の状況がどの要件に該当するかは、必ず税理士など専門家に個別に確認してください。

計画提出後も続く確認

特例承継計画を提出し、贈与や相続によって税制の適用を受けた後も、確認すべき事項は一度きりで終わりません。認定を維持するための報告や、将来的に状況が変化した場合の取り扱いなど、実行後も継続して確認が必要な論点があります。具体的な報告の時期や条件は制度・個別の状況によって異なるため、認定支援機関と一緒に、提出前の段階から実行後の見通しまで確認しておくことをおすすめします。

次の一歩

特例承継計画は、提出期限・適用期限・役員要件など、複数の期限と要件が重なる制度です。ご自身の状況への当てはめは、事業承継税制の期限特集や、税理士など専門家への相談を通じて確認することをおすすめします。事業承継センターでは無料相談も承っています。まずは承継準備度チェックで、現状の準備状況を確認してみるのも一つの方法です。

参考(一次資料)