早期の相談は、事業承継の選択肢を狭めないための土台になります。相談先というと国の「事業承継・引継ぎ支援センター」が広く知られていますが、それ以外にも、自治体が独自に設けている無料相談窓口や、日頃取引のある金融機関の窓口も選択肢になります。ここでは、内容を確認できている自治体の事業承継相談事業と、金融機関の窓口の一般的な位置づけを整理します。
自治体が独自に設ける事業承継相談窓口
国の事業承継・引継ぎ支援センターとは別に、区市町村が独自に事業承継の専門家派遣事業を設けている場合があります。ここで紹介するのは、荒川区・品川区・葛飾区・平塚市などで、いずれも公式サイト等で内容を確認できたものです。自治体によって制度の有無や内容は異なるため、お住まい・事業所所在地の自治体窓口で個別にご確認ください。
品川区・荒川区・葛飾区の専門家派遣制度
品川区の「事業承継支援事業」では、専門家派遣について「1事業者あたり3回まで」、M&Aなど第三者承継に関する相談は「5回まで無料」と案内されています。一般的な事業承継相談の費用については、同ページ本文に明記が見当たらないため、利用の際は窓口に直接確認することをおすすめします。
荒川区の「次世代へのバトンタッチ支援事業」は、訪問相談を「1社3回まで」、原則1回2時間程度、無料で受けられると案内されています。
葛飾区の「事業承継相談」は、「1事業者あたり6回まで」の相談を無料で受けられると案内されています。
なお、品川区・荒川区の専門家派遣は、公式サイト等で事業承継センター株式会社が受託していることが確認できます。葛飾区についても、同社が「令和8年度(2026年度)葛飾区事業承継相談業務」を受託したことを自社サイトで公表しています(2年連続の受託とのことです)。運営主体が同じであっても、区ごとに回数や条件が異なる点には注意が必要です。
金融機関の窓口という選択肢
日頃取引のある地方銀行・信用金庫・信用組合などにも、事業承継やM&Aに関する相談窓口を設けている先があります。融資取引を通じて自社の財務状況を把握していることが多く、資金調達や個人保証の見直しといった論点とあわせて相談しやすい面があります。一方で、相談内容や無料の範囲、対応できる論点は金融機関ごとに異なるため、個別の商品性やサービス内容は、取引先の金融機関に直接確認する必要があります。
国の窓口とあわせて、選択肢を並べて考える
全国47都道府県に設置されている国の「事業承継・引継ぎ支援センター」も、無料で利用できる公的窓口です。この窓口の詳しい使い方は、本サイトのコラムで別途解説しています。自治体の窓口・金融機関の窓口・国の窓口は、それぞれ役割や得意分野が異なるため、複数を組み合わせて使うことも選択肢になります。
次の一歩
- どの窓口から相談すべきか迷う場合は、無料相談で状況を整理することもできます。
- 事業承継に使える公的な支援制度を広く知りたい場合は、補助金・支援制度のページも参考にしてください。
- 自社の承継準備がどの段階にあるか確認したい場合は、承継準備度チェックをご利用ください。
- 事業承継・引継ぎ支援センターの活用法は、コラム一覧で詳しく解説しています。
参考(一次資料)
- 品川区「事業承継支援事業」専門家派遣 https://shoukei-shinagawa.jp/experts (2026年8月12日確認)
- 荒川区「次世代へのバトンタッチ支援事業」 https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a021/jigyousha/jigyouunei/jigyosyokei.html (2026年8月12日確認)
- 葛飾区「事業承継相談」 https://www.city.katsushika.lg.jp/business/1000011/1030233/1034396/1037665.html (2026年8月12日確認)
- 事業承継センター株式会社「【2年連続受託】東京都葛飾区の『事業承継相談業務』を今年も受託」 https://www.jigyousyoukei.co.jp/2026/06/55723/ (2026年8月12日確認)
- 中小企業基盤整備機構「事業承継・引継ぎ支援センター」(全国47都道府県に設置、相談無料の記載) https://shoukei.smrj.go.jp/center/ (2026年8月12日確認)