本シリーズは、事業承継センター取締役・東條裕一が、経営者から聞いた言葉と、経営者として伝えたい言葉を書き留めた「勇気をもらう経営者の言葉」を、一言ずつコラムとして再構成したものです。志や覚悟、そして勇気を、後継者のみなさんと分かち合えればと思います。

「分ける」は「できる」

なぜ、この言葉なのか

目標を置いた後、次に必要になるのが、その目標を実行できる形に分解していく作業です。

大きな目標のままでは、何から手をつければよいのかわかりません。目標を「分ける」ことができて初めて、目標は「できる」ものに変わっていきます。

後継者として大きな目標を任されたとき、その大きさに圧倒されてしまうことがあると思います。そんなときこそ、この言葉を思い出してほしいと思います。

「分ける」という作業は、地味で、特別な才能を必要とするものではありません。だからこそ、誰でも実践できる、実行力を高めるための確かな方法だと私は考えています。

目標を分けると、やるべきことが見えてくる

手段をたくさん出すためには、とにかく分けることです。1億の目標をやりきるためには、A社でいくら、B社でいくら、新規でいくら、というように分けていきます。

たとえば、A社からいくら買ってもらうためには、前年度実績をまもりつつ、500万円増やしていかなければならない、としましょう。そうであれば、次に考えるべきは、どんな企画をいつ誰にもっていくか、何をすればA社で500万円増やすことができるか、という具体的な問いです。

新規を取るためには、紹介で何社、リストから何社、展示会で何社。ここまで分けていくと、何をどれくらいやるのが必要かがわかってきます。分ければ分けるほど、抽象的だった目標が、今日、今週、今月にやるべき具体的な行動に変わっていくのです。

分けるという作業は、地味に見えて、実は目標達成への一番の近道です。大きな目標を大きなまま眺めていても、何も動き出しません。顧客ごとに、商品ごとに、期間ごとに、目標を細かく分けていくことで、初めて「明日やること」が見えてきます。

後継者として組織を率いる立場になると、目標を分ける作業は、自分一人で完結するものではなくなります。部門ごとに、担当者ごとに、目標を分け与えていく。この作業を丁寧に行えるかどうかが、組織全体の実行力を左右します。

分けることは、単に計算を細かくする作業ではありません。分けることによって、目標が「誰の仕事なのか」がはっきりします。分けられていない目標は、結局、誰の仕事でもなくなってしまいがちです。

後継者のあなたへ

大きな目標を前にすると、何から手をつけていいかわからず、立ち止まってしまうことがあります。そんなときは、目標をとにかく分けてみてください。

会社ごとに、商品ごとに、月ごとに。分けていくたびに、目標は少しずつ「できる」ことに近づいていきます。分けた先に、初めて自分や部下の「今日やること」が見えてきます。

今抱えている目標を、あなたはどこまで分解できているでしょうか。

本記事は、事業承継センター取締役・東條裕一の原稿「勇気をもらう経営者の言葉」をもとに構成しています。